ミスティクス 6/26 ラスベガス戦の戦評(なんてタイトルつけてみる)

Swish 戦評
この記事は約13分で読めます。

西海岸アウェイ遠征の最終日ラスベガス戦。これまでのアウェイで2連敗と心身ともに疲れが溜まっている中、リーグ1位のラスベガスとの試合でした。

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試合前ニュース

バーク選手のカット

昨日、ケネディー・バーク選手カットのニュースが流れました。シーズン開始後の契約から即戦力としてセンスを感じるスティールやスリー、ドライブ等貢献されていたので残念でした。チームとしてはたしかにフォワード過多でうまくローテーション出来ていなかったの、こういった判断をしたということでしょう。

騒動の詳細はこちらの記事をご覧ください。

週明けから空いたロスターのスポットで7日間契約を活用して選手を試していく予定とティーボーHCがコメントされていたようです。個人的な予想としては、スリーが打てる、ディフェンスができるのは外せないと思います。それ以外ではドライブができる選手か、リバウンドが取れる選手か、というところでしょうか。

ワシントン・ミスティクス

シアトル戦は弟さんのドラフトに参加するために欠場したエリザベス・ウィリアムス選手が合流。ワシントン→ロサンゼルス→ニューヨーク→ラスベガスと移動したようですね。疲れそうです💦

エレナ・デレダン選手も出場と発表され、同選手は今シーズン初となるアウェイの試合2連続での出場となりました。

ラスベガス・エースィズ

この試合の開始前までで、1試合平均得点91.5点とリーグ一位のオフェンス力を持つラスベガス vs. 平均失点75.6点の同一位のディフェンス力を持つミスティクスの盾と矛の戦いとなりました。

また、ラスベガスは7月に開催されるオールスターのスターターに3名(プラム選手、ヤング選手、ウィルソン選手)、対するミスティクスは0名(リザーブ選手として誰かしら入りそうではあるが)と対照的な2チームの試合となりました。

WNBA全体ニュース:ティーナ・チャールズ選手

これまた衝撃的なニュース。アメリカ代表で昨シーズンはミスティクスに所属していたフェニックス・マーキュリーのティーナ・チャールズ選手がチームとのバイアウトに合意したとの発表。(バイアウトとは選手とチームが双方合意のもと、契約を早期解約すること)

コネチカット・サンで4年、ニューヨークに移籍し6年、ミスティクスで1年、そしてフェニックスに所属していた現在33歳のチャールズ選手。新人王やMVP、得点王、ディフェンス王、リバウンド王、オールスター選出複数回など輝かしいキャリアを持っている選手ですが、唯一WNBA優勝はしていません。ミスティクス、フェニックスと優勝を求めての移籍だったようですが、それぞれのチームが怪我人等で主力選手を欠いたシーズンとなる不運。フェニックスはブリトニー・グライナー選手の不在が大きく響き、これまで10位と苦戦中で今後も苦しむことが予想されます。そこからの決断だったようです。

噂ではシアトル・ストームと契約すると言われています。スー・バード選手を含む複数の選手がアメリカ代表で一緒にやっているので、問題なくフィットしそうです。また強くなってしまいそうですね👀

この動きには批判の声も上がっていて、一部フェニックスの選手からも批判の言葉があったようです。グライナー選手のロシア拘束が続いたり、怪我人が絶えない状態のフェニックスから去るというのは誠実さに欠けるというか、裏切りと見えることからと考えられます。確かにそうだなと思う一方、これだけの選手なので優勝したいという気持ちも分からなくもないですね。

個人的にはこういった形でチームを去って、もしシアトルを選ぶのであれば、絶対に優勝までいって欲しいと思います🔥 決断をしたのだから中途半端で終わらないで欲しいと。(ミスティクス応援もあり複雑)

備考

試合の流れの中でのスコアの記載についてはミスティクスのスコアを先に書いています。例えば80-65だったら80がミスティクス。

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試合の流れ

スタートは(敬称略)

G ナターシャ・クラウド
G アリエル・アトキンス
F アリーシャ・クラーク
F エレナ・デレダン
C シャキーラ・オースティン

1Q

お互いシュートが入らないスタートから、ジャッキー・ヤング選手のミドルでスコアが動き出す。ミスティクスがデレダン選手のバンク、クラーク選手がアーリーからゴール下と連続で決めたところでラスベガスが素早くタイムアウト。

タイムアウト明け後もクラウド選手のアシストからオースティン選手のAnd1、クラーク選手のステップインと得点を重ねていく。ディフェンスではクラーク選手の個人ディフェンスや思い切りの良いヘルプディフェンスが効いていた。また、ミスティクスのチームとしても集中したディフェンスが続いた。

プラム選手が町田選手とマッチアップ。高さのミスマッチがありスリーを決められてしまう。同選手はここからドライブからのアシスト、さらにスリーと乗り始める。

ミスティクスもウィリアムス選手がファールをもらってフリースロー、レイアップ、アトキンス選手がスリーでスコアを重ね、どちらかのチームに流れが大きく傾くことなく20-22で1Q終了。

2Q

メンバーは(敬称略)

エレナ・デレダン
アリーシャ・クラーク
ルイ・マチダ
シャトリ・ウォーカー・キンブロー
エリザベス・ウィリアムス

ラスベガスが敷いたゾーンに対してターンオーバーが続き、早い展開から連続で得点されてしまったことで流れを持っていかれるかと思われたが、ミスティクスは相手のターンオーバーやシュートミスからボールをブッシュし、クラーク選手、アトキンス選手のスリーやツーで応戦し、いい流れで点数が積み重なる。

残り5分を切り、ラスベガスはウィルソン選手の右サイドローポストから集中して攻める。1度はAnd1を決められるもオースティン選手がフェイクに引っかからない良いディフェンス。

グレイ選手の個人技があればクラウド選手のドライブなど、早い展開で試合が進む。ミスティクスはデレダン選手によったディフェンスをよく見て、クラーク選手、アトキンス選手とスリーが連続で決まっていく。一方のラスベガスのオフェンスはプラム選手、ウィルソン選手の個人技でスコアを重ねる。どちらのチームもテンポ良くオフェンスが進むので見ていて引き込まれる内容だった。

ミスティクスのシュート率の良さで46-40とリードし後半へ。

オフェンスではボールをプッシュし続けたこと、ディフェンスをしっかり見てパスを展開し簡単なシュートにつなげたことで、フィールドゴールはミスティクス54.3%(3pt 40%)、ラスベガスは42.9%(3pt 36.4%)という数字に表れた。

3Q

開始は(敬称略)

ナターシャ・クラウド
アリエル・アトキンス
アリーシャ・クラーク
エレナ・デレダン
シャキーラ・オースティン

ラスベガスのオフェンスに対しミスティクスはファールが混み、フリースローで徐々に点差を詰められてしまうも、ミスティクスはデレダン選手に寄るディフェンス見ながらのオフェンスを執拗に継続。また、早い展開からまたクラーク選手がスリー。ディフェンスでは先読みのディフェンスが何度もあり、スタッツには残らない超存在感を残している(今日はスタッツもすごかったが)。

どちらにも流れが傾かない時間帯。ラスベガスはジャッキー・ヤング選手が2本、ミスティクスは悪い時の単調なオフェンスになりかけるもデレダン選手のスリー、ドライブジャンパーと譲らない。最後にラスベガスにリバウンドティップを決められ63-60で4Qへ。

4Q

メンバーは(敬称略)

エレナ・デレダン
ルイ・マチダ
シャキーラ・オースティン
シャトリ・ウォーカーキンブロー
アリエル・アトキンス

ミスティクスは外でボールが回っているだけの悪いオフェンスでスタート。その間にウィルソン選手のスリーで追いつかれるも、ミスティクスもデレダン選手のスリーでお返し。さらに時間がないところでハインズアレン選手のドライブ、スリーと再びリードを広げ、ライスベガスのタイムアウト。

タイムアウト明け、プラム選手のスリーが決まるが、それ以降、両チームからターンオーバーの応酬。ターンオーバーに加え、ラスベガスは2連続ムービングピックがあり、ミスティクスが勢いに乗りたいところ。しかしミスティクスはまたもターンオーバー。それが相手の得点につながりタイムアウト。

その後もターンオーバーが続いたが、クラウド選手のドライブからのプルアップ、デレダン選手のAnd1でつなぎ、ディフェンスでは集中し相手にタフショットを打たせる。

残り1分。またもターンオーバー、ディフェンスで止める、という流れ。しかしその後のオフェンスで時間を使った後にリバウンドから、プラム選手にAnd1を決められ15.8秒78-77の1点差に。

相手のファールゲーム。フリースローを確実にするためオースティン選手に変えてキンブロー選手を投入。アトキンス選手がボールを受け、フリースローをしっかりと2本決める。

タイムアウト明け。ジャッキーヤング選手の左ドライブからのステップバックスリーが決まってしまい残り7.7秒で80-80の同点となってしまう。

最後のプレー。ハインズアレン選手のフェイドアウェイが外れ、今シーズン2度目の延長へ。

OT

ナターシャ・クラウド
アリエル・アトキンス
アリーシャ・クラーク
エレナ・デレダン
シャキーラ・オースティン

1分半スコアが動かなかったが、ミスティクスのオフェンス、何も生まれない中からクラウド選手がドライブで切り開きフリースローをもらい確実に2本沈める。その後、試合を通じてゴール下で身体を貼り続けていたオースティン選手のハッスルから、相手のハンビー選手をファールアウトに追い込む。

直後、スイッチで生まれたスピードのミスマッチからアトキンス選手のターンシュート。(ディフェンスはハンビー選手と交代で出てきたストークス選手。同選手もディフェンスが良い選手だが、速さとしてはハンビー選手の方が上。ハンビー選手を退場に追い込めたことは大きい。)

ラスベガスのオフェンスに対して、デレダン選手がまたもブロック。しかしプラム選手のスリーが決まり、残り1:49で84-83。

続くミスティクスのオフェンスは疲労もあるのかシュートは短い。足も重そう。オースティン選手のオフェンスファールが取られ、29.7秒84-83でラスベガスボールに。

逆転をかけたグレイ選手の1on1をディフェンスで守り切り、相手のファールゲーム再び。クラウド選手が2本確実に決めて86-83、残り11.7秒。

プラム選手の1on1をダブルチームで守り、悪いシュートを引き出し、ミスティクスボールに。クラウド選手がボールをうけファールをもらい、残り3.9秒、86-83。フリースロー1本目をミスするも、2本目を決めて4点差。(前回の試合でのフリースローを回想してか集中する姿が印象的だった。)

4点差のため最後のシュートをファールしないように打たせ、それが入り87-86試合終了。

1Q 20-22
2Q 26-18
3Q 17-20
4Q 17-20
OT 7-6

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気になったこと

スタッツから

フィールドゴール確率:ミスティクス 32-68(47.1%)、ラスベガス(LV) 31/81(38.3%)
スリーポイント確率:ミスティクス 11-31(36.7%)、LV 10/24(41.7%)
アシスト数:ミスティクス 24、LV 14
ターンオーバー:ミスティクス 20、LV 15
ベンチポイント:ミスティクス 11、LV 12

  • FG率のシーズン平均はミスティクス43.2%、ラスベガスは45.9%。それに比べるとミスティクスのシュート率が良く、一方ラスベガスの確率が低いことが分かります。ミスティクスのディフェンスが効いたと言えると思います。
  • アシスト数はパスの展開の良さを示しています。ラスベガスは1on1中心だったので低く、それをうまく守れていたと言えます。
  • ターンオーバーは4Qにミスティクスが8、ラスベガスが4と一気に激増し、これでミスティクスが負けたらティーボーコーチは会見で「ターンオーバーが問題」というコメントを残すだろうなと思いましたが、延長でミスティクスはターンオーバー1、ラスベガスが3と、引き締まった内容で、そこが大きかったと思います。
  • ラスベガスは、スタート4人が約40分、上の3人はほぼ出ずっぱり。ミスティクスもオースティン選手以外のスタート4人は35分以上と、スタートメンバーの戦いがメインとなりましたが、ミスティクスが少しでも休められているのは大きいと思います。

オフェンス

ラスベガスは平均失点83.2でリーグ8位と決してレベルの高いディフェンスではなく、それに対してデレダン選手を中心として、ディフェンスの寄りをしっかりと見た確率の良いシュートを選択できていたと思います。

特に(ひいき目抜きで)クラーク選手がコンスタントに確率よく中、外と決めてくれたこと、アトキンス選手のあいかわらずのタフショットを含むシュートも大きかったように見受けられました。あとはやはりクラウド選手がドライブで何も生まれないときフリースローをもらえるのも大切だと感じました。

ディフェンス

ラスベガスのオフェンスは上の3人の1on1が中心。駆け引きがなくパスがないと分かる(突っ込んでくる)ことが多く、ヘルプに寄りやすいため、ミスティクスのディフェンスと相性がいいようです。ミスティクスの選手は個人ディフェンスの能力も高いので、(どの選手にはどちら側にドライブさせる、外から打たせるなど)ある程度の決まり事を作り、そこの穴をチームディフェンスで止めるという形が見事フィットしていました。

またチームのエースであるウィルソン選手はデレダン選手がマッチアップしてシャットアウト・・・と思ったけど17点取っているんですね、14リバウンド、3ブロックとあわせて地道にすごい。でも平均の18.3点以下には抑えています。延長で長かったことを考えるとよく抑えていたと言えると思います。デレダン選手は5ブロック。ウィルソン選手の動きが読めているかのような感じすらありました。デレダン選手自身はポンプフェイクをよく使いますが、そのタイミングが似ているのかもしれないですね。

あとは既出ですがクラーク選手のディフェンスが要所で目立ちました。ヘルプへの寄りやスティールなど、よく見ています。流石でした。

町田選手

10:39 1リバウンド、1アシスト、投試1

プラム選手とヤング選手とのマッチアップでは上からうたれてしまうシーンなど見られましたが、距離を詰めてのディフェンスは良かったと思います。

オフェンスはハーフコートオフェンスが引き続き課題ですね。以前にも書いた記憶がありますが、パスが横から来てそれを横に流すだけになっているのが良くないように見えます。相手に完全にスカウティングされて、ずれたディフェンスが中を固めればいいだけになってしまっています。超基本に立ち返って、ボールを持ったらゴールを見る、シュートを狙う、といったことを(実際は打たないとしても)やったほうがいいのではないかなと思います。

ドライブをレイアップまでいった積極的な意識はいいと思います。ブロックされましたが、あれを中長期的に別のタイプのフィニッシュに繋げていけるといいですね。

Bitly

最後に

ラスベガスの今シーズンの4敗のうち2試合がミスティクスと、得意意識につながる勝利となりました。(あとの2敗はシカゴとコネチカットと、上位のチーム。下位のチームに取りこぼしがないということのようです。)1週間強続いた西海岸遠征が終わり、次回の水曜はホームに戻りアトランタ・ドリーム戦です。

シーズン序盤2試合の様子はこちら

アトランタは最近怪我人が多く、直近のニューヨーク戦は5人欠場がいる状態でした。ミスティクス戦はどうなるかまだ分かりませんが、前回の試合時にいなかった選手もおり、またあのルーキーもいますので油断せず、勝利して6月を終えたいところです。

本日もお読みいただきありがとうございました!

これまでの戦評のようなものはこちら。振り返りたいかたはご覧ください😊

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