先日行われたワールドカップの日本代表について書いていきます。(W杯中に書き始めたのですが、中断し、このタイミングになりました汗)
誰かに向けて書いているわけではなく、あくまでも個人的に思ったことを中心に書いていくだけですのでそこはあらかじめご承知ください。※ちなみにわたくし、日本代表やWリーグは結構専門外でして、知っている範囲内、調べられた範囲内で書いています。間違いありましたらご指摘ください。
細かい戦術について。課題。
ディフェンス
オリンピックで大きな戦術の柱となり、流れを作るのに重要だったトラップディフェンスやダブルチーム(ハーフコート、オールコート含む)は対策されていました。
それは当たり前で、どのチームも対戦チームを研究します。日本が銀メダルを獲ったことによって更に深く分析される対象になったと思います。それだけ実力が認められたと言う意味でもあると思います。
日本のトラップディフェンスはどうしてもサイズの問題が出てきます。
同じサイズか小さい相手であれば、激しさやタイミングなどで、対策されていたとしてもより効果的にトラップできる可能性がありますが、日本はサイズが小さく、リーチも相手の方が長いので、上を通されてしまいます。トラップが来ることが分かっているため、スペースを広くとる、サイドラインやハーフライン等の危険エリアは注意するという対策とともに、そのリーチで攻略されている場面をよく見ました。
今回は(というかこれからは)、対策された上にこのサイズの差があるため、トラップを長時間において有効的に使うのは難しいと個人的に思います。サイズが小さい限りは。(脱線しますが、今後大きく器用な選手が増えると考えています。それに加えてサイズがなくてもあるスキルが突出した選手という形になっていくのではと予想。)
銀メダルを取ったからというよりは、どちらかというと奇襲的にああいった戦略が効果的にきまることで銀メダルに繋がった、という部分も大きいのではないかなと私は思います。
だからと言って、普通のマンツーだけをやっていれば上手くいくということはもちろんなく、サイズがある他国でも今回導入しているように、トラップ、ゾーン、マンツー、マンツーの中でもバリエーションを持ったスイッチ法など、ディフェンスにバリエーションを持たせて相手のリズムを崩す、戸惑わせるのが、サイズの小さいチームとしての選択肢になってしまうと思います。
すでに日本はそういったバリエーションのあるディフェンスを行なっているので、徹底していくしかないだろうなと感じます。
ただ、今回のワールドカップ4試合での平均失点は、65.5点、ランクが下のマリを除いても68.7点で、サイズの違いを考慮するとディフェンスが悪いわけではないと感じます。
何よりも課題なのはオフェンスでした。
オフェンス
ホーバス前HCの元では、チームのセットプレーが多かったことが有名です。それが意味することの一つは、セットプレーがあることで、コート上5人の共通認識、つまり「そのポゼションで得点を取るためのプロセスと目標」をコート上で作り、瞬時に共有することができたということです。
一方、恩塚HCのオフェンスは一言で表すとしたら、各選手がその場の判断においてクリエイトする、ということだと思います。アジリティと表現されている、素早い状況判断です(それはオフェンスだけでなく、ディフェンスもそういった追求があったよう)。
その中で、今回の大会において、以下のような場面から流れが悪くなってしまうシーンが個人的には印象に残りました。
- オフェンスで選手が周りを見回して、何も発生しなくなってしまう場面
- 最初だけセットがあり、その後に選手の動きが止まってしまう場面
- パスを探してしまいシュートに向かわないことでターンオーバーにつながってしまう場面
オフェンスで、そのポゼション、その瞬間に何がしたいかということにおいて、コート上5人の共通意識はかなり重要です。特にサイズで劣る日本は相手のディフェンスに体制を整えさせない(ズレを作る)のが重要だと思っていますが、それを見回して、アイコンタクトをして、例えばスクリーンだったらかけに来るのを待って…とやっているうちに相手ディフェンスもセットされてしまい、守る体制を作られてしまっていたと思います。(カナダもアメリカと対戦した際にそういった状況になっていました。)
ナンバープレーのコールがあれば、一声で全選手が「あ、あれね」と共通認識ができますが、フリーではよっぽどやり込んで出来るレベルになるのではないかなと思います。
※ここで別にフリーのオフェンスを批判をしているわけではないですからね。最後までお読みください。もしくは不快な場合は閉じていただいて結構ですので🙇🏻♀️
恩塚ヘッドコーチの考えについて
恩塚HCが会見でこのように明確に言っていたのが印象的でした。
日本のバスケットを前に進めたいという想いでこの大会に臨んでいました。
(中略)
選手がコート上で、自分自身の判断で自信を持ってプレイできるようにコーチしたいと思っています。それは、日本人はそういうことが苦手で、言われたことをやるのが得意だとよく言われている状況だからです。それを次のステップに行くために、選手自身が内側から湧いてくるエネルギーで、自分自身で自信を持って判断できる、そういうチャレンジを今しています。
9/27 日本 vs. オーストラリア 試合後会見での恩塚ヘッドコーチのコメント
短くすると、今後さらにステップアップするには自信とともに自己の判断でプレーをクリエイトすることが必要、ということでしょう。
賛否両論がある中で私の個人的考えは・・・
- 恩塚HCがおっしゃる通り、日本人は言われたことをしっかりと遂行することは得意、自分からクリエイトすることは得意ではない。銀メダルを取った代表チームからもう一歩進むために、そこを磨きたかったことは一つの考えとして個人的に理解できる。
- ただ、短いキャンプでやり込むだけでそれがすぐにプレースタイルに反映されはしないと考える。特にレベルの高い相手ばかりのワールドカップでは、これまで10年近く、それ以上やってきたマインドセットやプレースタイルがあるので、やりたいことが対策されたり上手くいかないときに、選手としては自信をなくす、どうしていいか分からない状況になってしまうのは致し方ない。代表の場だけでそれを取り入れるのは難しいと思う。
- ただ(2回目)、今後セットプレーを取り入れるにしても結局は個人の判断やフィニッシュ力が必要となる。Wリーグをしっかり見始めたが(始まったばかりで連携等がこれからというのは承知の上で)、今後サイズがない日本が世界と戦う中でさらに勝っていくには、フィニッシュ力(フィニッシュのパターンを含む)、判断力などを磨くことが必要だと思う。
- それらをA代表で磨くのではなく、アンダー、学生のレベルからやったほうが効果があると思う。もちろん中長期的なことになってしまうが。(恩塚HCを批判するわけでも庇うわけでもなく、個人的には同HCはアンダーカテゴリーとか育成に向いている気がします。メンタリティーの部分やフィニッシュの部分でそのほうが合っているかなと。)
今後について
今後、恩塚HCはこの部分に磨きをかけていくとおっしゃっています。
オフェンスの切り口と継続性、この点において私たちはエネルギーであったり、良い選択ができなくなってしまう場面があったので、この部分を磨きをかけていきたい。それをタイムシェアしながら出来るように、チーム力としてそれを表現できるようになるところまでを目指していきたい
9/27 日本 vs. オーストラリア 試合後会見での恩塚ヘッドコーチのコメント
察するに、ある程度の決まり事を作るのではないかなぁと思います。動きやオフェンスのはいりの部分において。タイムシェアについては、それぞれ向いている選手とそうでない選手がいるようなので、見てほしいなぁとは思いますが、それは選手にとっても挑戦だとも思います。
恩塚HCやコーチ陣は色々考えていらっしゃると思うので、今回うまくいかなかったことを糧に次回に活かしてほしいなと、いち応援者として思います。
今回の大会においては、スリーポイント率が低かった(ある程度フリーの場面でも)ことも、流れを作れなかった原因の一つになったので、自信のメンタルの部分と、リーチが長い選手が集まるチームに対しても打てる足捌き、バランスなどの身体、スキルの部分でも成長してほしいと願います。
あと最後に最近のWリーグの記事にも書きましたが、今後の日本バスケの発展において、外国籍選手に制限があるのは撤廃もしくは改定したほうがいいと思います(そういった動きがあるんですかね)。こちらも賛否両論あるのは承知しています。ここでそれを語るとまた長くなるのでやめておきます。
最後に
私の考えをまとめてみました。
色々な意見があるようですが、また次回の代表戦はどうなるか。銀メダルを獲ったゆえ、ハードルが非常に高くなっているように感じます。
日本がそのメダルに向けて成長したように他国も成長することも忘れてはいけないと思いました。他チームへの対策を含めて、WNBAで表現されていたようにチェスの試合のような駆け引きがあるのですよね。
いずれにせよ、悲しい顔、落ち込んだ顔、申し訳ないとコメントしてしまうような選手や監督の姿よりも、晴れ晴れとした顔や自信あふれた姿が見たと思います。
またさらに、海外に挑戦する日本選手が増えることが、私の大本にある願いです。
そんな感じでこの記事を終えたいと思います。
最後までお読みいただいた方はありがとうございました。
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