ミスティクスがどのようにルイ・マチダを称えたか(後編)

インタビュー日本語訳
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こちらの記事のフル日本語訳です。

Mystics honor Rui Machida on Japanese Heritage Day
For Rui Machida, Japanese Heritage Day was another game to prove herself. For her teammates, it was a time to celebrate ...

前編はこちら

「人として素晴らしい人。」ミスティクスがどのようにルイ・マチダを称えたか。

By Jenn Hatfield(ジェン・ハットフィールド)

町田の新しいチーム、新しいリーグ、そして新しい国への順応は、コート内だけではない。

まずスケジュールが大きな違いである。WJBLの試合はWNBAより頻度が少ない。国内で時差もないので時差ぼけも生まれない。そしてホーム、アウェイというよりはニュートラルな会場で開催されることが多い。

さらに何よりも言葉の壁である。町田はレッドウェーブや日本代表ではコミュニケーションを重視していたため、この部分は特に大きな壁と感じていると語った。

「表情から読み取ったり、コート上やそれ以外で何をするか、どんな人か知る必要があります。そしてとにかく理解しようとします」と町田はワシントンでの自身の進歩について語った。町田にはいつもタケイが側についていることもあり、いくつかの英単語を学んだ。「サンキュー」「スクリーン」「Tシャツ」などである。プレーは英語でコールし、チームメイトが言う単語については音で認識することができるようである。コート外において英語が理解できない場合は彼女はただ笑顔とともに笑う。そしてその場の雰囲気を和ませる。

日曜のウォームアップにはチームにMachidaが9人いた。チームメイトが町田の名前と番号がTシャツの前面に入ったTシャツを着ていたのである。「あのTシャツを脱ぎたくなかったよ」とウォーカーキンブロー。

「欲を言えば彼女の顔がプリントされていればもっと良かったよ」とフォワードのマイーシャ・ハインズアレン。「だってこれを私服として着ようと思っているからね。」

町田本人はMachidaのTシャツを着ていなかった。注目されることが「少し恥ずかしかった」がチームメイトがあのTシャツを着てくれて「とても嬉しかった」と町田は言った。ミスティクス全員でそれを着ると決めた時、町田が「着れないよ!」と言い、「ルイのいつもの笑いで」拒否した、とガードのアリエル・アトキンスが教えてくれた。

町田は1Qのメディア・タイムアウト後に交代でコートへ。ワイシャツの上に町田の赤いユニフォームを着用した日本大使館大使の冨田浩司氏のメッセージが会場で流れた。町田についてのメッセージがあると会場から歓声が湧いた。

交代1分後に最初のスリーを打った。会場が再度湧き、ボールがリングに弾かれると落胆の声が響いた。しかしファンが待ち望んだプレーはその後2分もたたないうちに生まれた。トップの位置からローポストにいるウィリアムスへの正確なバウンズパスでゴール下のシュートをアシストした。

後半ではディフェンスでも貢献した。3Qにミネソタのガード、ケイラ・マクブライドの速攻からのレイアップをチェックしミスを誘った。この選手は7インチも町田選手より大きい選手である。4Qには町田とアトキンスのディフェンスから相手のターンオーバーを誘発し、町田が走るウォーカーキンブローにあわせ、レイアップを演出した。

試合終了のブザーの後に選手だけでコート中央に集まるのはいつもの光景だが、この日はいつもと違った。町田を中央に押しやり、チームメイト全員が彼女に対してお辞儀をした。町田がチームに対して与えてくれるものへの感謝と尊敬の気持ちを込めたものだった。

この日曜の試合の前から町田がチームメイトに好かれていることは一目瞭然で、ディフェンスに囲まれる中でチームメイトを見つけてパスをする能力や、受け手がフリーになると予期していない時にパスが来ることに驚くという声をよく聞いた。

「ルイは素晴らしい、本当に素晴らしい人間。いつも笑顔が溢れていて、私たちの支えになってくれ、愛を感じる。それは私たちからも同じ気持ち」と試合前にクラウドがコメント。

「何があっても彼女は笑顔を絶やさない」と言うのはウォーカーキンブロー。「彼女にとって調子が悪い日がこれまでにあったかわからないけど、あったとしてもそれを絶対に外に出さないし、見たことがない。だから私がどんな状況だったとしても彼女の笑顔を見るだけで元気をもらえる。だから今日(ヘリテージデイで)彼女を祝うことができて、誇らしく思う。」

アトキンスはこのように言う。「彼女がチームにいてとても楽しい。彼女は素晴らしいチームメイトで、タイムアウトがあればベンチから駆け寄ってくれるし、試合に出れば、たとえ私たちが理解できなくてもジェスチャーや言葉で示そうとしてくれる。私たちとしてはそのハンドシグナルや言葉を理解しようと努めているけど、何よりも、ルイが体育館にいる時に笑顔じゃない時を見たことがないということが一番大きなこと。私にとっては、言語の壁があってタフな状況ながら、彼女の毎日の取り組む姿勢にとても勇気づけられている。」

これらは選手の中で示し合わせたものではなく、お互いのコメントを知らない中で各選手からこのようなコメントがされている。町田の日々のポジティブなエネルギーがチームメイトを元気づけ、支えになっているようだ。そしてチームメイトも町田に対して同じようにしようと心がけている。クラウドは「コンニチハ」「オヤスミ」「アリガトウ」といった日本語を学んだ。クラウドとデレダンは7月6日に町田が2得点3アシスト記録した試合後にハイタッチ、グッドのジェスチャー、そして町田の頭をポンとたたいて感情を表現した。

「笑顔で背中を叩いて、ナイスパフォーマンスだったことを彼女に伝えようとしました」とデレダン。「良いペースで、さらに自信あふれるプレーで、カットする選手への合わせもあり、試合のスピードを上げてくれました。必要であればドライブし、素晴らしいプレータイムだったということを言ったけど、全部伝わっているかは分かりません。多分理解してくれたと思います。」

町田の「ベスティー」をシーズン開始当初から公言していたハインズアレンは、新しい選手が入ってくる時はその選手をサポートしたいと思っていること、町田の状況は自身が国外でプレーしている時の経験と同じであることを5月に語っていた。

「新しい選手がどんなことにおいても自分らしくいられるための存在でありたいと思っています。なのでみんなが心地よく、オープンでいられる雰囲気を大切にしています。私がミスティクスに入ってから、ここには家族のような環境があります。私がそのように迎え入れられたので、私がここにいる限りは自分の役目を果たすまでです。」

「(ハインズアレンは)いつも会話をしようとしてくれて、しかも通訳なしでそうしてくれようとします。すごいサポートをしてくれます」と町田は語る。「同時に、私がベンチに戻ってきた時は試合について話してくれて、あれで良かったよなど、励ましてくれます。これまで本当にサポートしてくれています。」

アトキンスによると、ハインズアレンがチームで最も町田とコミュニケーションを取っているそうだ。日曜の試合後のロッカールームでは、ハインズアレンが町田を探し、「ベスティー!?」と叫んだ後に、町田が急に現れて、ハインズアレンの頭を指で突くという面白い場面があった。「彼女が反応したことがびっくりだった」とアトキンスは言う。

ハインズアレンと町田はお互いに手拍子のゲームを教え合った。ハインズアレンからは「スライド」というゲーム。町田からは「リズム」というゲームである。

また、ミスティクスは日本の食文化にも注目した。アトキンスと、フォワードのアリーシャ・クラークは共に日本のスナック菓子を試し、美味しいと高評価。アトキンスとハインズアレンは町田とタケイと一緒にディナーを外食できるよう働きかけている。

「ミッキーに外食に連れて行ってほしいとお願いしています。彼らはいつもアウェイでは日本料理のお店に行っているようだし、私自身もアジア料理は大好きだから」とアトキンス。「なので本当の日本食をトライしてみたいと思っています。DCにいくつかあるのは知っていますが、アウェイの時は分かりませんから、私も混ぜてもらえる機会を待っているんです。」(このアトキンスのコメントを伝えたところ、タケイは7月末のダラスの際にそのチャンスがあるかもと笑いながら言った。)

大部分はチームメイトのサポートのおかげで町田はワシントンをホームのように感じている。「全くホームシックではありません。このチームの一員となれたことに感謝ですし、とても楽しんでいます」と町田は言う。

ミスティクスはチーム全体で町田の1年目のシーズンに対してサポートを続けている。そしてチームは、プレーオフのシード権を得て優勝により有利に向かうために彼女のベンチからの貢献を必要としている。しかし、日曜のジャパニーズ・ヘリテージデイにおいて、ロッカールームでの太陽のような存在感、ファンのお気に入り選手、日本の多くのファンにインスピレーションを与える存在として、彼女がWNBAですでに影響をもつ選手であることがはっきりと分かった。

「最高でした」とジャパニーズ・ヘリテージデイについてクラウドは言う。「ルイは祝われるべき存在だと思います。彼女の文化も同様です。ルイが家族や友人、慣れ親しんだ文化と離れて、この場所に私たちと一緒にいるということに対して、彼女の存在を祝うことや、それによって私たちがこの場所での家族だと思ってもらえること、ここが家だと思ってもらえることが唯一正しいことなんだと思います。」

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この記事はJenn Hatfieldさんの記事です。

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