バード選手のキャリア最後となる試合後記者会見、その他映像の日本語訳です。
試合後会見
（いまの気持ちは？）
なんだか変な気持ち。現実感がまったくない。直後は負けてシーズンが終わったという悲しい気持ちで、それが目に現れていた。そして感情が湧き上がってきて、これが最後の試合だったという気持ちになった。その2つの気持ちが入り混じっている。でも全体的にやっぱり変な気持ち。
（試合後に特にそういった気分にさせたのは何だったか）
おそらくファンで、最後まで長く残ってくれた。私もコートを去りたくなくて、最後のときを持って、感謝を伝え、これまでのことを肌で感じていた。ある意味幸せなことなので。ここで成し遂げてきたことは誇りに思っているから。もちろん悲しいが、ファンとそういった時間を持てたり、みんなからコールしてもらえたというのは幸せなこと。涙が嬉し泣きには見えなかったかもしれないが、たくさんの幸せを感じている。
（2018と2020シーズンに優勝できたことの意味は？）
2つの優勝を本当に誇りに思っている。あのチームは多くのことを乗り越えてきた。知っている人もいるし知らない人もいる。共にその優勝を勝ち取った。いつまでも特別な意味を持つ優勝だと思う。
私個人にとってもキャリアにおいて生まれ変わりのようだった。以前に触れたことがあるが、チーム再建期になった後はファイナルにはもう二度と戻れないと思っていた。その意味でも優勝したことはさらに特別と感じる。いろんな理由で2018年が私の最も好きな年だと感じている。
（キャリアを通じてシアトルに居続けたことはどんな意味を持つ？）
本当に大きな意味を持っている。以前にも言ったが、この経験を同じファン、街、コミュニティと共有することができ、みんなの生活の一部になることができ、逆に私の生活の一部がみんなで。とても特殊な関係。それもありこのフランチャイズに大きな責任を感じていて、チームが成功に貢献したかった。多くのサポートを受けたから。
オーナーが一度代わり、2つのオーナーグループのお世話になった。1つは私をドラフトしてくれたオーナー、もう一つはチームを移転せずにシアトルに留めてくれたオーナー。どちらのオーナーにも感謝している。それからフロントオフィスに関わったみんな、チームメイト、コーチ陣。私は本当に恵まれていた。
多くの人が私がシアトルに残ったことはチームは恵まれていると言うかもしれないが、それは私のほうで、こういった経験をしたことは私が恵まれていた。プロアスリートがそういったことをできるチャンスは少ないと思うのでそれにも感謝している。珍しいことではなく他にもそういった選手はいるが、とても特別なことだった。そして私はそれを一生誇ることができる。とても特別。
（このときが来てしまったが考え直すことはなかったか）
それはなかった。身体の調子が良いので惑わされそうになるかもしれないが、これが最後の年としたことで安らいだ気持ちがあったこと、自信をもって最後の年と言えたことには理由がある。それを公言したことはかなり高いハードルだったが、それを越えたときに感じた気持ちで、自分は正しかったんだと思った。
今後バスケをしたい気持ちになるかといえばもちろんそうで、二度とこんなものはないし、再現できないと思うし、そんなものを探そうとも思わない。けど今は正しい決断だったと言える。
（この4試合の質の高さについて）
見る側の視点から言えばこのシリーズは今までで最高の試合だったのではないかと思う。シュートの決定力、プレーメイク、流れが行ったり来たり。とてもエキサイティングなバスケで、能力の高い選手が集まった2チームたった。チェルシー・グレイ、アジャ（ウィルソン選手）、ステューウィー（スチュワート選手）は信じられないパフォーマンスだった。
4試合全てで最後までやりあっていた。これがこれからこのリーグが進む方向だと思っている。能力の高さでああいったことが可能になる。これまではそういったことはなかった。なので若い選手がそれぞれのプレーで輝くのはワクワクすること。
ジュエル（ロイド選手）もそう。今日ナイスムーブがあった。リーグを背負っていける良い選手がいて、このシリーズがそれを表している。若い４選手が支配していた。
（コート外で成し遂げたことについて）
上院議員を代えることができたことは素晴らしく、誇らしく思う（マイノリティに対して差別的だった議員に代えて別の方を当選させるため活動）。リーグで達成できたこととして最も大きかった。
他には、私世代前後の選手のプレーによってリーグ自体を存続させることができたと感じている。今と同じようにTVで取り扱われず、スポンサーの獲得ができなかった時にリーグを続けることができたのは私たちのバスケがあったからと信じていて、その世代の一部であることに誇りを持っている。WNBA創立期の世代ではなく、そこからバトンを引き継いだ世代。そこから今、変化が現れ始めている。
存続させた世代の一部というのも誇らしいし、最後の数年で変化を感じ始めたことも嬉しい。物事が変化する曲がり角に差し掛かっていて、その一部を味わった。ファイナルに行ければチャーター機を味わうことができたけど（今シーズンからファイナル進出チームはチャーター便移動）、そういった経験はあるから、まあチャーター機はそんな悪くないかな。
（これまでのチームメイトとの関係）
タニーシャ・ライト（現在アトランタHC）はこの試合のためだけに飛行機で来てくれた。それ以外にもそういったチームメイトの長いリストがある。いくつもチームのグループチャットがあって、毎日誰かが何か言う。2010年のチームだったり、2018年のグループチャットだったり。毎試合見に来てくれる前のチームメイトもいる。
そういった一生の友情関係は素晴らしいし特別。友人でもあり、ありふれた表現だが共に戦争で戦った戦友。練習や試合でお互い限界以上を出すように切磋琢磨し合い、良い時も悪い時も知っているといった関係。どんな時でもサポートしてくれたり、目覚ませてくれたり、お互いの本当の姿を知り合っている。今のチームでも私の人生でこれからも関わっていくというメンバーがいるし、先ほどの話にもつながっていて、ストームを通じてこういった関係性を持てるということは、一つのフランチャイズでプレーしたことが大きく関係している。
（現在のリーグで今までに比べ驚きを感じること）
個人の能力。数年に1回程度、新しいタイプの選手が入る。これまでたくさんいた。オーガスタス、ポンデクスター（どちらもレジェンド）、その前にはダイアナ（タウラシ選手）もいたけど私と2歳しか違わないからスキップしたとして、さらに間を飛ばして話すとBG（グライナー選手）、エレナ（デレダン選手）、スカイラー（ディギンススミス選手）が同じ年に入ってきて。こういったように数年に一度新しい風が入る。今では本当に才能に溢れたリーグになっている。
このシリーズにおいて一番面白かったことは、たくさんのアイソレーションプレーがあったこと（1人の選手に1on1をさせるためにスペースをあける作戦）。15年前はそんなことは一切なかった。私が入って最初の10年12年あたりまでは必死なやり合いだった。2010年優勝したときはそういったプレースタイルだった。
けど今はルールも変わり、1on1がやりやすくなり、そして能力の高い選手がいるので自由度の高い1on1が増えている。正直私も今22歳だったらなと思う。間違った世代に生まれてしまったよう。今は若い選手たちにとってはとてもエキサイティングな環境。それが素晴らしいことでそれがスポーツ。進化、変化する。対のリーグであるNBAでも変化があり、また進化がおきようとしている。
（チーム再建のプロセスには何が必要か）
正直に言うと１位指名が必要。わざと順位を落としてドラフト権を得ると言う話をしているのではなく、そういった質問ではないことは理解しているが、これまでで1位指名がいなくて、もしくは複数のトップ3位指名の選手抜きでファイナルに行ったというチームはなかなか頭に浮かばない。
この女子のリーグで勝つのは個人の高い能力が必要。優勝するのはステューウィーみたいな選手がチームにいるから、ローレン（ジャクソン選手：元WNBA選手、今年オーストラリア代表として復帰）みたいな選手がいるから。ダイアナ・タウラシ、マヤ・ムーアみたいな選手がいるから。悲しいけどそれが事実。私としてはそういった選手複数名と一緒にできたことは恵まれていた。
そうでなければチームとしては非常に難しい。それをフリーエージェントでうまく選手を獲得したり、チームの構成を考えたりして張り合う。だが、普通は1位が必要。
（ディレクターの方がスー、ありがとうと言って会見が終了となった後にバード選手が自発的に）
記者のみなさんにありがとうと言いたい。また別途機会があると思うが。私のこと、シアトル、リーグのことを取り扱ってくれて感謝している。これからもそうしてくれることを願う。みなさんのおかげでこのリーグが継続している。今日は古い見知った顔もあれば、新しい顔も見える、Zoomは誰がいるかわからないが、みなさんに感謝をお伝えしたい。とても光栄だった。またすぐに会いましょう。
（記者さんから沸き起こる拍手）
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公式の映像
字幕つけてみました↓（公式さんの映像使用）
他の選手の会見（シアトルチームメイトの2人は涙もの）はこちら↓
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