WNBAブリトニー・グライナー選手、薬物所持でロシアにて拘束。年俸などの背景と今後の考えられる展開2つ。

WNBA
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昨日に引き続き、アメリカ代表、WNBAセンター206cmのブリトニーグライナー選手のロシアでの拘束について

なぜロシアにいたか、その理由と背景。そして今後予想される展開を書いていきます。

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なぜこんなタイミングにロシアにいたのか。WNBA選手のお給料事情。

ニュースが出てからよく目にする質問です。自業自得だという批判的なコメントもよくみます。

2月中のいつに渡航したかについては明らかではないので、果たして世界の情勢がどの段階でグライナー選手がロシアにいく、という判断をしたのかは分かりません。ニュースで見たことのみで判断はできないので批判的なコメントは控えたいと思います。

わかっていることのみまとめていきます。

まず多くのメディア等ですでに触れられていますが、多くのWNBA選手はオフシーズン中に海外のチームと契約し、そのリーグでプレーします

それはトッププレーヤーでも若い選手でも同じです。(もちろん休むシーズンもあれば、事情があり一才プレーしない選手もいる。)グライナー選手も同様です。

2014年のオフシーズンからロシアリーグ強豪のUMMC Ekaterinburg(エカテリンブルク:以下UMMC)というチームに所属し、WNBAのフェニックス・マーキュリーと同チームに行き来する年を続けていました。

こちらは今年1月の試合です(フルゲーム)。10:30ごろ、グライナー選手のティップオフジャンプから試合が開始しています。

なぜ、WNBA選手が海外に行くか。

グライナー選手のWNBAでのチームメイトであり、アメリカ代表、WNBAキャリア累計得点1位でいまだに自身でそれを更新し続けるレジェンド#3 Diana Taurasi(ダイアナ・タウラジ)選手が以前にこのようなコメントをしています。

“The only reason you go there is for money. “That is the only reason you leave your country to go to a different country to play basketball.”

つまり「稼ぐため」「国外に出て海外でバスケをする理由はそれだけ」とのこと。

WNBAの年俸は、

  • 最高で$221,450(約2,570万円)
  • 平均が$120,650(約1,400万円)
  • 加えて何かしらのインセンティブで(何かの賞を取るなど)ボーナスとして$500,000(5,800万円)稼ぐことができると言われています。

この数字をどう考えるでしょうか。ちなみにNBAでの最低年俸は$925,258(約1.07億円)です。

それに対し、海外リーグ、特にロシアと中国ではサラリーが比較的高いと言われており、グライナー選手ほどの選手であれば1シーズンで1億円を超えていると言われています。

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ロシアチームの事情

UMMCは、ロシアの鉱業会社と所有者のIskander Makhmudov(イスカンダル・マフムドフ)氏からの資金提供があります。

ESPNによると、

・アウェイの試合にはチャーター機を使用する(WNBAでは通常の航空機)

・アウェイの際は高級ホテルに泊まる

・ホームの際は、それぞれの選手に運転手がつき街の案内もしてくれる

そんな待遇ですから、寒い場所であろうと一流選手が集まるわけです。

グライナー選手以外にも多数のWNBAトップ選手の所属歴があります。一例として、

  • シアトル・ストーム Breanna Stewart選手
  • コネチカット・サン Jonquel Jones選手
  • シカゴ・スカイ Allie Quigley選手、Courtney Vandersloot選手、Emma Meesseman選手

毎年オールスターのような選手を集めて優勝を続け、先日記事でも書いたヨーロッパの最高峰のリーグであるユーロリーグでは6度のタイトルをとっています。

しかし、それだけの選手が集まったとしても、ロシアで女子バスケが盛り上がっているか、と言ったらそんなこともなく、選手の年俸をはじめ、プライベートチャーター機や運転手さんの費用を賄い切れているわけでは全くないようです。

ではなぜオーナーがそんなコストを払い続けてまで選手を獲得するのか?

背景としては、ソビエト時の1976年には米国を破り、1980年には米国不参加のためオリンピックの金メダルをとっていることから、女子バスケで強いことがロシアで誇れるものということがあります。

プーチン大統領と近しいと言われているUMMCオーナーのマフムドフ氏が、海外の選手であろうが有名選手を獲得し、優勝を続けることで、スポーツを利用して力を誇示することでビジネス的な存在を示す、優位に立つ、もしくは、出資を続けることでチームがあるロシア第4の都市に愛され続ける存在になるため、等と言われています。また同時にUMMCというウラル採鉱の会社の宣伝にもなるということです。

ロシアのチームが、数々の国からチームが集められるユーロリーグで優勝を繰り返すわけです。「ヨーロッパ1位」と言うことを顕示し続けているということのようです。

また、その程度の出費はこのマフムドフ氏とってはポケットマネー程度の額とのこと。マフムドフ氏しかりその周辺のオーナーしかり、欲しいと思ったものにはいくらでも払う、といったタイプの方のようです。

こういった選手側の事情、チーム側の事情でグライナー選手はロシアのチームに所属しています。

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ロシア所属チームの状況

UMMCをはじめとするロシアのチームは、現情勢を鑑み2022年2月にEuro LeagueやEuro Cupからは出場停止の状態にあります。

しかし、Russian Women’s Basketball Premier Leagueという、ロシア国内の一部リーグでは現在も試合が続いているようで3月に入ってからも、2日、5日に試合があり、そして13日、20日と予定されています。

Баскетбольный клуб УГМК / УГМК
/ УГМК

選手一覧が更新されておらず、グライナー選手をはじめロシアにいないはずのWNBA選手がまだ載っています。グライナー選手の件については触れられていないようです。

ちなみにウクライナのチームに在籍していたWNBA選手は無事にウクライナ国外に移動しているようです。

確認できているまでで、ワシントン・ミスティクスで町田選手のチームメイトとなるAriel Atkins(アリエル・アトキンス)選手、コネチカット・サンズのJoyner Holms(ジョイナーホルムズ)選手がウクライナのチームに所属していましたが、無事にブルガリアにいるとされています。

今後の考えられる展開

これはこちらのウェブサイトを参考にまとめています。

REPORT: Brittney Griner Has 2 Likely Legal Paths After Drug Arrest In Russia
Read “REPORT: Brittney Griner Has 2 Likely Legal Paths After Drug Arrest In Russia ” and other WNBA articles from Total Pro Sports.

一つは、ロシア国内の法システムの元、裁かれる道。グライナー選手がロシアでの弁護士を雇って有罪となる法的危機を下げる道です。

二つ目は、国際的な政治状況と関わるリスクが高い方法で、グライナー選手が米国とロシア政府の間の政治交渉の切り札になるという道。早く解放される可能性もありますが、余計に問題をこじらせる可能性もはらんでいます。

こちらの記事に記載のTwitterによると、2019年にイスラエルの女性が10グラムのWeedで同様に拘束され、イスラエル当時のネタニヤフ首相が交渉し、プーチン大統領の恩赦で釈放されることがあったようです。

しかしグライナー選手がが交渉の切り札となる場合、釈放、帰国にどれだけかかるか誰も予想できない、ということも書かれています。

プーチン氏と繋がりがあるUMMCのオーナーどうにかしてくれ!って思うんですが、ロシアでの法を犯している、さらにロシアで厳しいと言われる薬物関係ということで、そんなに簡単にはいかないようです。

さらに心配なことが、ロシアでは同性婚を事実上禁じていて、LGBTQに対して厳しい対応がされています。(グライナー選手は同性愛者で奥さんがいらっしゃいます。昨日のポスト参照ください。)

ロシア連邦の一角であるチェチェン共和国では国家主導の同性愛者弾圧があり、性的マイノリティが命の危険に晒されているとのことです。(ドキュメンタリーがありますね。)

まとめ

ということで、WNBA、選手、ロシアチーム、ロシアの歴史、そして現在の情勢が色々関わって現在のような状況になっているということをお分かりいただけたかと思います。

毎日のようにWNBA選手や関係者、著名人から彼女を心配するコメントがSNSに出てきます。

色々な記事を見る限り、簡単には解決しないことが予想されます。

政治的なカードに使われないで欲しいと思う一面、そちらの方が早く帰国でき、家に帰れるということになるのでしょうか。家族や関係者としたら心配という言葉だけでは表せない心境だと思います。

どうか、とにかく無事にご家族ご友人の元に帰れますよう願っています。

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