結果から言いますと、富士通が敗退することとなったクォーターファイナル。1試合というのは本当に早く過ぎ去ってしまうものですね。もう一つの山の試合も含めて、一瞬で終わってしまったように感じています。観ているだけの私でこう感じるんですから、選手からするとそういった気持ちはもっと強いかと思います。
それでは早速書いていきます。
1Q
富士通が開始から2-3ゾーンディフェンスをしたところを林選手がいきなりスリーを沈め、次のポゼションからすぐにマンツーに戻す。マンツーに対してもENEOSは、ピックプレーから生まれるオフェンスを繰り広げる。お互いがどう動くか、合わせるかわかってりあっていて、その効率の良い連携を富士通はなかなか止められない。
一方、富士通はオフェンス面では、機動力、高さを兼ね備えるENEOSのディフェンスに攻めあぐむ。オールスイッチや、インサイドへの潰しが早く、開始からENEOSの10-0のランとされてしまう。
6分をきったところで、交代で出場した宮澤選手と、町田選手のピックプレーからようやく2点。続いて安江選手が昨日に引き続き積極的にプルアップを狙っていく。
序盤のENEOSの強烈さが薄まり、町田選手、宮澤選手のスリーと決まり、富士通の良い流れとなりそうだったが、ENEOSの藤本選手が連続決めるなど、点差は縮まらず23-14で1Qが終了。
2Q
ENEOSは交代してきた高田選手がすぐ外から決め、1Qから引き続き、どこからのオフェンスも成功している状態となり、富士通としては更に的を絞れず難しい状態が続く。(その状態を作り出しているのは渡嘉敷選手のインサイドでの存在。どうしてもズレができてしまう。)
富士通はオフェンスでは江良選手のところで執拗にピックプレーを仕掛けていく。同選手がプルアップを決め、続いてまた安江選手がドライブを決める。
2Q中盤にENEOSのオフェンスで判断が良くない時間が続き、富士通はそこで点差を詰めたかったが、なかなかオフェンスを成功させることができなかった。ようやくアーリーで中村選手がスリーを決め、32-21とする。
お互いポストへのパスミスなどが続き、スコアが動かない時間が少し続いた後に江良選手がスリー。富士通の流れになりそうになるも長岡選手がインサイドで2連続得点、うち一つは終了間際のAnd 1プレーで、37-26と点差を広げて後半を迎えることとなった。
3Q
町田選手のスリーから一気に富士通が爆発を見せる。内尾選手のスティール→速攻で37-35と2点差に。富士通としては最高の後半スタートとなった。
3Q後半にかけて江良選手がスリー、再び内尾選手のスティールから速攻が出て、どちらかというと富士通の流れ、という中でも安定してスコアしていくENEOS。
その後、富士通のオフェンスファールから宮崎選手のスリー、長岡選手のポストプレー、再び宮崎選手のツーと嫌なところで一気に畳み掛けられ、点差が再び開いてしまう。55-47で最終クォーターへ。
4Q
ENEOSはインサイドを執拗に狙っていき、点差がまたジリジリと離れていく。江良選手、町田選手のスリーで10点差とするが、富士通のディフェンスがインサイドにずれれば長岡選手、藤本選手が決め、点差が縮まっていかない。
富士通はミスマッチができても思い切ったプレーがなかなか出ない一方、ENEOSはズレができた時の宮崎選手の積極的アタックが続けてきまる。そこにディフェンスが寄ればアウトサイドに散らされ高田選手のスリーで76-61。残り約3分。
ここから富士通はオフェンスではクイックヒットを狙い、ディフェンスではフルコート、ハーフコートでトラップを積極的に仕掛けていく。
どちらも機動力のあるメンバーに変えていく。(ENEOSは選手が痛んだこともあり。)
オールコートプレスからのスクランブルにENEOSが対応できず、更に中村選手のハッスルもあり76-67と一気に点差を縮めるも、残り1分でENEOSは宮崎選手、渡嘉敷選手を戻し、落ち着いて対応。76-69で試合終了となった。
試合レビュー
ENEOSのインサイドをどうケアするか、ということが重要だった試合。ディフェンスで中にヘルプが寄らざるを得ない富士通としては後手になってしまいます。
富士通が試合開始から下を厚くするために2-3ゾーンを敷いたら最初のポゼションでイキナリ決める林選手(勝負強すぎ)。また、日本代表クラスのベテランがそれぞれのポジションにいることもあり、うまく試合運びをされた感がありました。
やはり悔やまれるはゲームの出だし、10-0のランとなったこと。途中富士通も何度もランに成功しましたが、終始追う立場となりキビシイ展開となってしまいました。
シーズン中にもこういった展開となった試合がいくつかあったと記憶していますが、ディフェンスのチームである富士通からすると大きい点差を追いつくって体力がいると思うんです。(体力というのは精神力を含む)
スリーが入って、ディフェンスから速攻が出て、という今日みたいな流れが一気に作れるのはいいですが、スタートダッシュはされたくないですよね。「よし、追いついた」となってもそこからずっと同じオフェンス、ディフェンスが成功するわけではなくて、相手も対応してくるので。
オフェンス、高さ、出だし、というのが残った課題でしょうか。
今シーズン富士通をフォローして…
富士通の今シーズンが終わることになりました。まずは選手、チーム関係者の方には本当にお疲れ様でしたとお伝えしたいです。
怪我人、コンディション不良があり、100%のチーム力が発揮できた時はもしかしたらなかったかもしれないですが、その中で出場時間を増やす選手がシーズンを通じてどんどんフィットして上手くなっていったり、試合中には代わる代わる異なる選手が引っ張ったり、チームとしての力を伸ばしていく変化にはワクワクさせていただきました。チーム力の円が大きくなっていくような。
もっと見ていたかったですが、キビシイ勝負の世界。このチームでは今日が最後となって、また来シーズンに向けて新しいチームが作られていくのですね。
(1年とか半年かけて作ってきたチームが1試合で終わりとなってしまうのはキビシイですね。この形式はあまりにも上位チームに有利すぎてあまり賛同できずです…。)
結果として富士通としては今日が最後の試合となりましたが、それぞれの選手の良さが光ったプレーオフであった気がしました。特に、江良選手のオフェンス、内尾選手のディフェンス、宮澤選手の安定感、中村選手のハッスル。安江選手はこれからが楽しみです。
そして町田選手は特にシーズン後半からオフェンスでより積極的にアタックする引っ張る姿勢が際立っていました。チームの外からのシュートが当たらない時にドライブで得点、WNBAから帰ってきた後も改善に取り組み続けているスリーポイント。セミクォーターファイナルではトリプルダブルの、今日もスリー4/6を含む22点の活躍でした。
来シーズンは、健康でより強くなった富士通を見たいと共に、町田選手に関しては今後の挑戦が楽しみです(ちょっとは休まれてほしいですが)。悔しい場面を見るともっと活躍されている姿を見たくなります。
選手の皆様は悔しいと思いますが、最後まで全てを出し尽くしている姿に、気持ちが熱くなり、月並みな言葉ですが感動しました。ありがとうございました。
最後に
これまでこんなにWリーグの1チームを追うことはありませんでしたが、フォロワーさんとの繋がりから今年初めてほぼ毎試合、富士通の試合を追わせて頂きました。
それが不思議な感覚で、フォロワーの皆さんほど強く熱烈なファンというわけでもないけど、それぞれの選手が気になるし、負けたり、本来の力が出せなかったらやっぱり悔しいし。レベルは違えどバスケの経験が少しはあるので、選手の気持ちもすごいわかって共感する部分もたくさんあったし。
という感じで、色んな面から楽しく、悔しくという気持ちを持ちながら試合を追って、記事を書かせて頂きました。たぶん記事にはあんまり感情がこもっているように見えなくて(記事によってムラがあるかな)、自分自身もどういった立場で記事を書くんだろうと分からないこともありましたが、今は間違いなく富士通を応援していたと言えます。
こういったきっかけを下さったフォロワーさんに感謝をお伝えしたいと思います。
(WNBAのシーズンが終わった時もこういった一区切り的な感じになった記憶が。シーズン制スポーツの特徴なのか😆)
ありがとうございました!
最後に、の後に。
三菱電機、シャンソンをここで見終わり、結果はシャンソンの大逆転劇。途中は疲れも見えてキビシイかなと思いましたが、シャンソンも逆境の中でそれぞれの選手がステップアップして、最後までまさに諦めずアタックし続けたことが勝利につながりました。逆境を跳ね返すというのは感動するなぁ。
シャンソンは7位ながらベスト4に勝ち上がり、ダークホースですね。ゴタゴタがあったのにすごい。むしろあれがあったから更に残った選手は一体感があるかもしれないですね。
それにしても勝ったのはインサイドが高いチーム。やはりバスケはサイズが重要ということか〜。なんか悔しいなぁ〜。
あと思ったことは、WNBAのミスティクスもそうだったけど、ディフェンスだけでは勝ちきれないということ。そして、オフェンスだけでも勝ちきれない、ということでしょうか。
トヨタ紡織、富士通はディフェンスのチーム。結果論ですが、オフェンスが課題となりましたね。
勝つには、ディフェンスは大切、オフェンスも大切。そして高さも大切。ということがあらわれるプレーオフの第一週と感じました。
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