こちらの記事のフル日本語訳です。
「町田瑠唯、ワシントン・ミスティクスの一員として初年度に堅実な貢献。」
経験豊富なポイントガードはチーム2位の平均アシスト数を記録しミスティクスのプレーオフ進出に貢献。
By Ed Odeven
2022年8月17日
※エドさんはThe Japan Timesで日本のバスケを長年担当されていた方です。
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町田瑠唯はミスティクスのバックアップ・ポイントガードとしてチームに貢献し、交代のローテーションのスポットを勝ち取り、レギュラーシーズン36試合全てに出場した。
ミスティクスは8月14日にホームで行われたシーズン最終戦のインディアナ・フィーバー戦を95-83で締めくくると、町田を含めた同チームのメンバーは、その集中をすぐにプレーオフへと移した。
ミスティクス(レギュラーシーズン22勝14敗。シーズン最後の10試合は7勝3敗)はベストオブスリー形式のプレーオフ一回戦でシアトル・ストーム(22勝14敗)と対戦することが決まっている。同カードはレギュラーシーズンでは3試合行われ、シアトルがそのうち2試合に勝っている。
ミスティクスのレギュラーシーズンの最終戦では、同スターティングポイントガードのナターシャ・クラウドが膝の怪我で途中退場した。前半14分のみの出場で10得点を挙げていた。
クラウドがその試合には戻らないことが決まり、29歳の町田がその代役を務め、スタッツに残る出場となった。21分間(20分以上の出場はシーズンを通じて6回目)で、3点、6アシスト、4スティールという記録だった。
数字を残す選手
インディアナ戦での6アシストは、シーズンの自身の記録において3番目に多いアシスト数だった。5月13日のダラス・ウィングス戦で7アシスト、6月5日のシカゴ・スカイ戦で9アシストを記録している。
2021年に開催された東京オリンピックにおいて、フランス戦での18アシストというオリンピック記録を含む活躍で日本の銀メダル獲得に貢献した町田は、12.9分、1.8点、1.1リバウンド、2.6アシストとうスタッツでWNBAレギュラーシーズンを終えた。総アシスト数93はチーム2位だった。
2015年にミスティクスに加入したクラウドは7.0アシストというキャリアベストのアシスト数で、今シーズンはリーグのアシスト王となっている。(総アシスト数は239)
シアトルとのGame 1を3日後に控え、クラウドは怪我は問題なく、戦う準備ができていることを語った。
町田の粘り強いディフェンス
ミスティクスを取材する記者のウェイン・コールの多くのツイートの中で、レギュラーシーズン最終戦後のツイートにこういったものがあった。ワシントン・ミスティクスのヘッドコーチ兼ジェネラル・マネージャーのマイク・ティーボーがインディアナ戦での町田のディフェンスに高い評価をしたというものだ。
コールのツイートによると、ティーボーは町田のディフェンスを「ブヨ(※しつこく、ちょこまか付きまとう比喩的な意味あり)」、「どこにでも現れる」と表現。
さらにティーボーは、オフェンス、ディフェンス両エンドでの町田の自信とアグレッシブさを評価し、プレーオフになればミスティクスにはそれらが必要とコメントしたようだ。
チームメイトからの評判
これまでWNBAレギュラーシーズンMVPを2度受賞し、2022シーズンは平均17.2点でチームトップのスコアラーであるエレナ・デレダンは7月に、町田はプロとして素晴らしく、チームメイトとして明るく楽しい存在であると語っている。
7月17日のミネソタ戦の後にこのように言っている。「ルイは毎日適切な準備、姿勢をもっています。」「練習時間のだいぶ前に施設に来ていますし、練習が終わった後もいつも個人練習をしています。言葉が分からない中でポイントガードをやるというのが一体どんな感じか想像できませんが、彼女はそれを上手にやってのけているんです。」
「いつも笑顔が絶えないです。また、彼女はいつもチームメイトと一緒にうまくプレーしたいという気持ちがあって、プレーが終わった後にはそれについて話そうとします。彼女と話すと、その後彼女はそれをすべてやってくれるどころか、何かプラスでやってくれます。彼女は知識を吸収するスポンジのようです。」
ベテランの控えフォワード/センターであるエリザベス・ウィリアムスも町田と一緒にプレーし、オフェンスに勢いをもたらすことを楽しんでいると語る。
コールの8月12日のツイートによると、ウィリアムスはこのようにコメントしている。「ルイと一緒にプレーする時はいつもパスを受ける準備をしています」「走ったり、いいカットやポジション取りをするとパスをしてくれる選手というのを知っています。それが私たちとの間の言葉の壁を越えることにつながっています。なので、彼女の目を見て、正しい場所にいることをとにかく意識するようにしています。彼女が正しい予測、判断をすることは分かっていますから。」
「交代の声がかかった時は準備ができているように」
ミスティクスがプレーオフ進出を決めたのはベンチ選手の活躍が要因の一つである。
チームのためにという考え方である。
例えば、控えフォワードのティアナ・ホーキンスは、いつでも出られるように集中し、メンタルの準備を常にすることを他の控え選手に伝えている。
SB Nations’s Swish Appealという女子バスケに関するメディアの取材によると、ホーキンスはこのように語っている。「毎試合前にベンチメンバーには交代の声がかかった時に準備ができているようにと言っています。交代で入れば、コート上に自分が持つもの全てを残すのです。」
WNBAシーズン開始前の5月に町田は通訳を介してオリンピックに出場したことが彼女のキャリアにとって大きな意味を持ったことを認めている。
「アメリカ代表との試合では自信を持って臨みました」と町田は言った。
「ミスティクスからオファーを頂くまではWNBAでプレーするなんて想像してもみなかったですし、間違いなくこれまでで最高の経験になると思います。」
ミスティクスへの加入前は、町田はWJBLの富士通レッドウェーブに2011から所属している。
WNBA記者の評価
ジェン・ハットフィールドは女子バスケ専門のメディアThe Nextのミスティクス担当記者であり、同サイトの編集長である。
町田がミスティクスにもたらすインパクトや、チームに必要な役割に彼女がどうフィットしているか、そしてファンやメディアからの印象についてハットフィールドはこのように答えている。
「ルイ・マチダのスタッツは目立つものではないかもしれませんが、バックアップのポイントガードとしてチームの成功に欠かせない存在になっています。」
「彼女がもたらすことで最も大きいのがチームのペースを上げることです。スタートのナターシャ・クラウドも速い展開を好みますが、マチダはもしかしたらWNBAで最も速い選手かもしれません。前線への難しいパスをも恐れません。彼女がコート上にいる時間帯でのチームのフィールドゴールの30%が彼女のアシストから生まれています。それはリーグ10位で、さらにターンオーバーもそこまで多くありません。」
「また、自身の俊敏性を活かして相手のドライブのコースを防ぎ、スティールをするといった良いディフェンスもみせています。」
2022シーズンでそれ以外に彼女が成長したことは何かという質問にハットフィールドはこう答えた。
「町田はシーズンが進むにつれ成長していきました。チームメイトと一緒にプレーすることに更に慣れていき、WNBA選手のサイズに対してもパスや動きを対応していきました。ターンオーバーの数も減りました。」
「あと必要なのはシュートを決める力です。コーチ陣やチームメイトがずっとシュートをしろと彼女にずっと伝えています。練習では良いシュートを打っているようです。」
※ハットフィールド氏が町田選手について書いた記事はこちら↓
ロッカールームの人気者
今シーズンずっとミスティクスを追ったハットフィールドは、町田に対するファンからの愛情を間近で感じた。ハットフィールドはこのように言う。
「町田は早いうちからワシントンのファンの間での人気者となっていました。ハイライトを生み出すパスがその理由の一つで、その人気ぶりは変わっていません。」
「彼女がコート上で何かを起こせば観客から”Rui! Rui! Rui” というコールが時々うまれています。7月に行われた彼女を讃えるジャパニーズ・ヘリテージデイでもファンは楽しんでいたようです。」
「さらに彼女はロッカールームでも人気です。才能に溢れ、パスを優先に考えるポイントガードと一緒にプレーすることをチームメイトは楽しんでいますし、そしてその明るい人間性もチームメイトから愛されている理由です。」
コーチの考え
ミスティクスが町田と契約に至ったのは、オリンピックでも見られた彼女のパス能力が認められてのものだった。
WNBAで累計最高勝利数を誇る(8月14日時点で379勝)ティーボーは町田のゲームメイクの力についてこれまで何度も語ってきた。また、チャンスがある時はゴールにアグレッシブにアタックすることをこれまで町田に伝えてきた。
町田はシュートに関しては安定的に決めることができていない。フィールドゴールは31%で、3ポイントは20.6%にとどまっている。
しかしティーボーは、町田が今シーズンのミスティクスの優勝にむけて力を発揮し、貢献をすると最初から分かっていた。
同氏はシーズン前の5月に、東京オリンピックでの彼女の世界的な活躍を言及して「彼女は大舞台で活躍できる」と語っている。
WNBAでの大舞台であるプレーオフ。これから8チームがしのぎを削り優勝を目指す戦いが始まる。
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